散歩道

週末散歩や備忘録

連れ合いがくも膜下出血に倒れる②

手術後

翌週、月曜日

麻酔を切られて、目を覚ました連れ合い

目覚めていきなり、いつも通りに話せるなんて思ってもいなかったが

声をかけても、聞こえているのかいないのかもわからず

呼吸器のせいで、声が出せるかどうかもわからない。

手足が動くかどうかもわからない。

意識レベルも確認できない。

 

そんな状況にショックを受ける。

 

このまま意識が戻らなかったらどうしよう・・・

 

言いようのない不安で帰宅してからは涙が止まらない。

 

家族といるときはいろんな話をしたり、大阪の娘や妹や連れ合いの母に報告をするときは気丈にふるまったりする。

 

でも一人自室に戻ると、気が付けば涙が溢れてくる。

 

お願いします。神様

あの人を戻してください。

私のところに返してください。

 

ただ、ただ、祈るしかない。

 

この週はとにかく、油断したら涙が止まらなくなるので

 

あえて、やることを見つけた。

 

仕事にも出た。

周囲の人が心配して「無理しなくていいからね」と優しい言葉をかけてくれる。

 

やることは実はたくさんある。

 

脳の手術は高額な医療費が必要で入院期間も長期に渡る。

 

真っ先にやらなければならないのが、高額医療費限度額の申請。

 

そして医療保険の申請。

 

どちらも同時に実施。

 

その後、連れ合いの会社の病休申請。

 

連れ合いの銀行口座の確認。

 

ここで、ふと気づく「しまった!キャッシュカードの暗証番号を聞き忘れた!」

 

まずは給料が振り込まれる銀行のATMで、この番号ではないかと思う番号を入力してみる。

 

1回でビンゴ・・・

 

私と連れ合いにしかわからない番号。

 

思わず、また涙が出る。

 

そっかあ、これをキャッシュカードの暗証番号にしてたのか・・

 

他の口座も全て確認したが、全部その番号だった。

 

何がどの銀行から引き落とされているのかも確認完了。

 

医療保険が下りた時の振り込み口座も確認できた。

 

実はこの医療保険も私が以前より、「どんなに健康でもそろそろ保険に入った方がいいよ。いつどんな病気や事故があるかわからないでしょう。」

そういって、今年になって入ったばかりだったのだ。

まさかこんな事になるなんて思ってもみなかった。

 

手術後の2週間は要注意だと主治医の先生は言った。

 

再出血の危険性

合併症の危険性

血管痙攣の危険性

自発呼吸ができなければ、気管切開して人工呼吸器を装着しなくてはならない。

 

最初の1週間は気持ちの乱高下が激しく

とても心がついていかない。

 

それでも二日後の水曜日。

自発呼吸ができ、気管切開の必要がなくなった。

 

それだけでも嬉しかった。

 

ICUでは基本的に面会禁止。

 

それでも看護師さんや主治医の先生の配慮で動画を撮ってくださって

 

皆さんの声掛けに応じて、目を開く連れ合いの姿にまた涙が止まらなくなる。

 

手足も動き、寝返りもよく打っているとの報告もいただく。

 

この週は合併症もおこさず、痙攣もおこさず

 

毎日不安な朝を迎えてはほっと胸をなでおろす夜を迎える

 

そんな1週間。

 

まだ、連れ合いは一言も言葉を発しない。